一瞬先の未来のために

楽しさだけでは生きられない

結婚披露宴で四星球を流した話

結婚式から1週間経ちましたが

あっという間でした.
当日は本番直前に挙式のリハーサルをし,Zoom先の友人たちにリモート配信開始の挨拶をし,挙式本番はガチガチで,鐘を6回鳴らし(5回のつもりが振り子運動で1回増えて割り切れる回数になったのは内緒),Zoom先の友人たちが画面に一斉に映る光景に感激して配信終了の挨拶がまともにできず,(このご時世なので)挙式の後に地元の友人を見送り,親族たちだけで結婚披露宴をした.
正直に言えば,結婚式を延期した結果1年近く終わらないイベントを抱え続けた不安で精神はいっぱいいっぱいで,はやく終わってくれと思っていた.しかし終わってみると,こんなにも祝福されることはこの先無いだろうと思いつつ,やって良かったと心から思う結婚式にさせていただいた.

結婚披露宴で流した四星球セットリスト

※ここから先は大好きなバンド「四星球」の話になります
結婚披露宴で流す曲は,自分たちで選ぶことができる.(但し,著作権の関係で,必ず原盤を持ち込む必要がある)
ワイフと私では音楽の趣味が異なるので,お互いに半々になるような選曲をした.四星球を使うことは,結婚式をやると決める前,いや,ワイフと出会う前から決めていたことだった.定番の洋楽を選ぶなど,私の選択肢には無いのだ.ワイフにどんな顔をされようが,喧嘩になろうが,私にとっては一緒に生きてきた音楽なのだ.
と心で唱えながら,反対するワイフの意思を軽やかに受け流しながらセットリストは完成した.使用できたシーンと曲を紹介する.

  • 新郎プロフィールムービー:妖怪泣き笑い
  • ケーキ入刀:思い出クイズ
  • ファーストバイト:オモローネバーノウズ
  • 新郎中座:ボーナストラック
  • 新郎の手紙:親孝行 or DIE
  • 退場:LAUGH LAUGH LAUGH (時系列順.maybe)

驚くべきは,四星球の汎用性である.ここでは全体の流れの一部でしか使うことができなかったが,おそらく全てのシーンで,ぴったりな曲を選ぶことができる.(これがぴったりかは人によりますね)
特に,思い出クイズは,当時「もはやCDではない」がリリースされたとき,衝撃を受けたこんなフレーズがある.

幸せの前借りだったとしても私かまわない
使い果たしてもかまわない
思い出でやっていける

「幸せの前借り」という言葉は,幸せが有限であるから大切にしなさい,ということではないと解釈している.
辛いことや悲しいことがあるからこそ,それを乗り越えるために幸せを持っていこうということだ.
そして「借りる」ということは「返す」ということだ.受けた祝福を返したいという気持ちが,私の中ではぴったり重なった.

結婚式を何のためにやるのか

私たちが結婚式場に初めて行ったとき,そんな質問をプランナーの方にされた.「この会社で何をやりたいですか」と就活で訊かれるのに似たものを感じたが,それは重要な質問だった.たしかに,大金がかかるし,そのお金の流れを考えても,心の底からそうだと思える答えを持っていなければならない(と思う).
私はそのとき,私たちに関わってきたすべての方にお礼をしたいということと,こんなに綺麗な私のワイフを見てほしいのだ,と答えたと記憶している.
ただ,終わってみてさらに思ったのは,結婚式はライブに似ているということだった.
楽家は,音楽を届けるだけなら,CDを売るとか,音源をオンラインの海に放てば良い.あるいは誰かに曲を提供して,その人に広めてもらえば良い.それだけが目的なら,ライブをやる必要は無い.では,なぜライブをするのか?それはライブに行く人ならわかるはずだ.私はバンドマンではないし,これからなる可能性も極めて低い.だから音楽という文化の中では常に「ライブを見る人」だ.ただ,それは構造の話であって,実態はそのように分けられていない.ライブは一体だ.構造的にライブをする側と見る側に分けられるが,少なくとも,大好きな四星球のライブに行けば,一体になって楽しんでいる.それが人生を豊かにしてくれると感じるし,ライブをする人も同じように感じてくれれば良いと思っている.
だから,結婚式はライブに似ている.祝福される側とする側の話ではなく,そこで一体となって,辛さや楽しさを感じ取りあえる.だから結婚式は,ライブだと思えば1日だけでもバンドマンになれる.いや,だからつまりライブはバンドマンだけの特権ではない.私たちはすべからく「生きる者/Liver」として,人生に1回のライブをしても良いんじゃないでしょうか.

最後に

油断して3キロ太ったのでジム再開します.ご清聴ありがとうございました.