一瞬先の未来のために

楽しさだけでは生きられない

TENET(2020)

コロナ禍の映画

少し前から映画館に入れるようにはなっていたが、コロナの流行状況とは無関係にそれほど観たい映画が無かったので、久しぶりの映画だった。収容人数には制限があったものの、地元の映画館の、例によってモール内の隣接した店舗まで浸食するポップコーンの匂いは健在で、記憶と結びつきやすい嗅覚への刺激は映画のUXを増大させているに違いない。

というわけで、久しぶりの映画館で、しかもクリストファーノーランときたら、勝利を確信して入場したわけです。ワイフとともに。

 

前提の誤解

映画の内容について話す前に、いくつか私の中で前提にしていたこととは誤解があったので、これから観る方は参考にしてほしいと願う。ネタバレはできるだけ無しで。

 

誤解①時間を逆行させるのは能力ではない

予告編を観た私は、主人公だけが時間を逆行させて、銃弾を跳ね返したり車を運転させたりするのかと思っていたが、そうではなかった。超能力モノではない。逆行はあくまで現象であり、それをコントロールできるのは、そのように設定された物だけである。(抽象的なのはネタバレになるからです)

 

誤解②時間軸が一つではない

時間軸と言われて一本のベクトルを思い浮かべて、正の方向が順行、負の方向が逆行だと考えていると、それは混乱の原因になる。時間軸上のある点が現在で、その点が正の方向に向かってじりじりと移動するのが順行なのだが、その現在において同時に逆行するものが共存するため、時間軸は複数あると考えないと混乱する。こんなことを言っているとTENETの研究員に、

理解するのではなく、感じるの

と間違いなく言われてしまうし、そう考えると、観客は主人公と全く同じ理解度のまま映画が進んでいっていることがわかる。

 

先入観というのは怖くて、これを誤解したまま内容を理解するのは至難だった。というか理解できなかった。というか理解させる気ある?

 

ワイフとの沈黙の帰り道

映画の観賞後、半ば無理矢理一緒に観させたワイフには申し訳なく、とても怖くて感想なんて訊けなかったが、第一声が「あたま痛くなった」だったので、感想を訊くのは諦めた。せいぜい「わけわかんなかったよね」と言うしかできなかった。畜生め。一回で理解できる映画を作れってんだ!と思ったが、これだけの敗北感に燃えている自分もいた。

映画館から車で帰る間、わけのわからない映画を2.5時間も観させられたと思っているかもしれないワイフを横に乗せながら、ひたすら沈黙しながらあの映画がなんだったのか、それこそストーリーを逆行させる勢いで遡った。

 

たぶん苦手な映画でした

期待が高すぎた気がします。はい、私の理解力がないと言われればそれまでですが、、、ええ、アクションは見ものでした。あの、銃弾が戻っていくところとか、車が回転するところがとか。

ええ、すみません、だれか、理解できた人から教えてもらおうと思います。

これもあくまで記録のためなので。